ヤマハの名車、RZ250を所有していますが、2021年冬に焼き付いてしまいました。
しかし、RZの中古相場が上がり続けています。
あまりにも手放すのは惜しい。
そこで国内でも屈指の内燃機加工屋、井上ボーリングさんに修理を依頼する事にしました。
この井上ボーリングさんは、焼き付きにくくする独自の技術を持っています。
まず、公式HPからBBSに飛びます。
このBBSに加工してもらいたい内容を記入すると返事を頂けます。
そこで、できるかできないかの判断と、加工工賃を教えてもらえます。
電話での対応はしていないので、BBSから質問するしかありません。
納得のいく返事だった場合、同じくHPからオーダーシートをダウンロードします。
これを部品と同封しないと、作業をしてもらえません。
あとは、郵送&持込します。
到着した時点で、TELまたはメールで連絡を頂けます。
翌日にTELにて連絡がありました。
担当の方からいくつか言われました。
・納期は1ヶ月半〜2ヶ月です。
・ピストンに合わせてクリアランスを出すので、お客さんが用意するか、当店にも在庫ありますが、どうしますか?
・ピストンのWPC+MOS2処理はするか?
(WPCは金属製品の表面に微粒子を圧縮性の気体に混合して高速衝突させることで表面が改質する技術)
とりあえず全て込みで見積もりを出してもらいました。
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商品名:部品代:TKRJφ64KIT(ピストン)
数量:2件
単価:8,280
金額:,560
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商品コード:ICBM(メッキスリーブ)
商品名:ICBM(スキマバメ) ¥200,000
数量:1
単価:,000
金額:,000
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商品コード:CL
商品名: STD CLRS0.06mm
金額:
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EX柱付き
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商品コード:WPPP
商品名:WPC&MOS2 PISTON PIN
数量:2
単価:,940
金額:9,880
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商品コード:WPPP
商品名:WPC&MOS2 PISTON PIN
数量:2
単価:975
金額:,950
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商品コード:WPR
商品名:WPC&MOS2 ring
数量:4
単価:50
金額:,600
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商品コード:4
商品名:発送料
数量:1
単価:,000
金額:,000
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< 税抜合計金額 > ,990
< 消費税 > ,199
< 合計 > ,189
ドヒャー!
新車で原付き買えるぞ。
別にレースとか出る訳ではないので、そこまで耐久性はいらないでしょう。
WPCはやめて、ICBMとピストンだけお願いしました。
10年貯めたヘソクリが…
しかし今さらあとには引けません。
ひたすら待つのみ。
それまでヤフオクでバイク用品を売り、少しでも費用を稼ぎましたよ。
旧車部品は仕入れるのも大変ですが、思った以上に高値で売れるのです。
1週間くらいして連絡がきました。
「スタッドボルトのネジ穴がダメですね」
「ヘリサート入れた方が良さそうですが、追加工しますか?」
ダメなのはマフラーを取り付ける部分です。
追加工はありがたいですが、問題は費用です。
「1ヶ所7000円で、3か所なので21000円です」
ドヒャー!!
ちょいと高すぎでは??
丁重にお断り致しました。
ちなみにヘリサートとは?
ヘリサートは、ネジ穴の山が潰れてしまった場合に施す加工です。
特に機械は必要なく、ヘリサート(コイルみたいな物)、ヘリサート用のタップ、ヘリサート挿入用の工具があれば誰でもできます。
バイクに限らず、バカになったネジ穴補修に使用できます。
補修穴に一回り大きい穴を空け、一回り大きいタップでネジ切ります。
その後、ヘリサートを入れて行きます。
コツは、穴に対して、垂直に入れる事です。
ハンドルをゆっくりと時計回しすれば、ネジ山に沿って入ります。
ある程度入ったら、逆回しして、タングと言われる部分を折ります。
機械加工をやっていた頃、マシニングセンタでアルミの鋳物から削り出し、全てのタップ穴に手動でヘリサートを入れる製品がありました(30ヶ所くらい)
その為か、1か所で7000円は高すぎると思ってしまいました。
もしかしたら井上ボーリングさんは特殊なヘリサートの機械があるのかもしれないですが。
まちに待った納品
予定よりも4日早く連絡がきました。
「作業が終了したので、振込お願いします」
わたしは振り込みました。
そして振込から2日後に届きました。
再メッキの補償カード、ICBMのキーホルダーとステッカーが同封されていました。
シリアルナンバーが543。
と言う事は、ICBMを載せたエンジンが、世の中に500機以上走っているのですね。
加工後の画像も同封されていました。
しかし問題が発生です。
重整備してくれるバイク屋さんがない
物さえ揃えば、あとは組むだけです。
今回の修理は腰上だけなので、自分でやってやれない事はないです。
しかし、高価な物なので素人が組んでミスしたら大変です。
そのためプロにお任せする事にしました。
昔からお世話になっているショップや、初めて行くショップに、修理できないか聞きました。
ところが、全てNGです。
今や空前の旧車ブーム、どこのバイク屋さんも修理を引き受けたは良いが、部品が入らず、保留中のバイクが溜まっているようです。
このため「今は重整備はできません」と断られるのです。
昔からお世話になっているショップで、
「もう少し待ってくれればやりますよ」
と言ってもらえたので待ちました。
半年ぶりに復活
焼き付いてから半年、リニューアルして帰ってきました。
現在50Kmほど走行しました。
今のところ特別な違いは分かりません。
しかし、エンジンのかかりは抜群に良いです。
普通のシリンダーとの違いは、数年後に出てくると思います。
長い付き合いになると良いですが…
以上でICBMの発注から納品まででした。
旧車ブームで60年代〜80年代のバイクは高騰しています。
最近では90年代も上がりだしています。
現在でもそれを修理し維持できるのは、井上ボーリングさんのような、素晴らしい技術を持った企業があるからですね。